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2025年05月05日
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SS(zill O'll その2)
2015年11月06日
別ジャンル続きです。
自己満足その2……;
自己満足その2……;
ディンガル帝国とロストール王国。
今でこそ2大国家として存在するが、それらが確立される前、ヴァイアシオンにも群雄割拠の時代があった。
誰もが国家統一を望み、覇権を手にすべく戦った時代――。
当然国の数も多かった。ゼネテスの知るところ、それは最大で7つある。
だが時代が流れていくうちに、7つあった国々も、あるいは世継ぎがおらず衰退し、あるいは敵国に滅ぼされ――ひとつ、またひとつと消えてしまった。
ルマリスという国は、確かお家騒動が元で滅んだ国だったと記憶している。
王が若くして病死し、幼い王と弟王との世継ぎ争いだったとか。(正確には幼い王子の実母と、前王の弟一派の争いであるが。)
ともかくルマリスはそれが元で滅び、落ち延びた弟王は小さな村をつくり、そこで余生を送ったという。
彼の村長としての手腕は悪くなく、村人に好かれ、それなりに良い人生を送ったらしい。そして、そこに王朝が保有していた宝の一部を隠した――という。
しかし、ルマリスという王朝があったという痕跡を示すものはほぼ皆無。ごく僅かな文献の食い違いから考察されるだけのあやふやな伝説だ。
そのためルマリス王国の存在自体誰かの創作だという意見もあるし、やはり王国はあったが財宝を独占するために誰かが存在を隠蔽したのだという説も、実しやかに囁かれている。
■You have my word.(2)■
「で、ここがその弟王がつくった村だってのか?」
ゼネテスの問いに頷くセレネー。
「ええ。ですが、ここには財宝はありません」
「フェロヒアがセレネーさんを狙ったのって、やっぱその財宝が目当てなわけ?」
会話に割って入るジル。ちなみに割って入ったのは会話だけではない。彼女はぴったりと寄り添っていたセレネーとアンギルダンの間に身体を無理矢理割り込ませている。
「なーんか違う気がすんだよね、アタシ」
長年冒険者をやってきた勘とでも言おうか。それが違和感を告げている。
「隠し事は無しにしよ? アンタが話をしてくれたらさ、力貸したげるかもしんないし」
「本当ですか!」
「ん、バッチシ」
ジルは頷き、そしてゼネテスとアンギルダンに目配せをする。
(面白そうだし……良いよね?)
どうやら意見は同じようだ。ジルはもう一度頷いた。
「ほらほら、早く言った言った。それともアタシら信用出来ない?」
「そんなこと……ありませんわ。ええ、私の勘ですけれど」
そういってセレネーは頬を染め、アンギルダンをちらりと見やった。
(ほうほうそうかい。信用すんのはお爺ちゃんが居るからかい。)
ジルはイライラするのを必死に堪える。これから面白いことが起こるのであれば我慢できる。うん。……たぶん。
「確かに財宝はあります。財宝と言っても、金や銀ではありません。ルマリスの血筋には代々受け継がれるものがあるのです。恐らく、狙いはそれかと」
「金や銀じゃない?」
ゼネテスは首をかしげる。
「ルマリスに受け継がれる不思議な能力。能力……というのも少し違うかしら」
いまく言えない様子の彼女に、アンギルダンが慰めの言葉をかける。
それに勇気付けられたのか、セレネーは再度口を開いた。
「大いなるソウル。無限の可能性を秘めた魂を持つ子供がルマリスの血筋には現れるのです」
かつての弟王もそうだった。彼はその無限の可能性を高め、村という新たなる可能性を切り開いた。
そして受け継がれるものはもうひとつ。
「闇の神器――“虚無の剣”」
ジルたちは顔を見合わせた。虚無の剣の存在は知っている。何故なら。
(アタシ、愛用してんだけどさ。)
(……だよな。)
頷くゼネテス。
話がややこしくなるから黙っとこう。意見は決まった。
「フェロヒアが私を狙ったのは、恐らく私がルマリス王朝の血を引くからでしょう」
「んじゃ、セレネーさんも無限の魂?」
「いえ、ですが弟と妹は」
「兄弟いるんだ! 名前は?」
「弟はオール。妹は、まだ赤ん坊ですが……」
セレネーの言葉に、ジルとゼネテスはまた顔を見合わせることとなる。
「ジルと言います」
かつて栄えた伝説の王国。
虚無の剣。そして大いなるソウルと無限の魂――。
運命の歯車が音をたてて動き出したような、そんな気がした。
※ ※ ※
ロストールがディンガル進行を公表。
エンシャント政庁では、皇帝エリュマルクが重臣を集め、軍議を行っていた。
ロストール国王・フェロヒアは進軍にあたり、使者に口上を述べさせていた。
「ロストールめは国境近くの村をひとつ明け渡せば、進軍を取りやめると言っておる。皆の意見を聞きたい」
そう言ったもの、エリュマルクの腹はもう決まっていた。戦わずして済むのなら、向こうの条件を飲むのも悪くない。
条件には村人全員を引き渡すということも含まれているが、多少の犠牲はやむを得ない。
多くの重臣たちもエリュマルクと同意見と述べる。どうやら方針は固まりそうだ。
「早々に使者を送れ」
彼がそう告げた直後だった。
「陛下」
声があがった。低く、よく通る声だ。
その声の持ち主は一歩前に出ると、片膝をつく。
「僭越ながら申し上げます。何故向こうがそういった条件を出したのか……それが判明するまで様子を見るべきではないでしょうか」
それに、と男は続ける。
「小さき村とはいえ、そこに住まう者たちはれっきとしたディンガルの民。彼らに対する配慮があってしかるべきかと」
エリュマルクはあからさまに面白くない顔をした。
この男は以前から口うるさく意見してくる。しかもそれが正論であるから始末が悪い。
(面白くない。)
改めて、エリュマルクは目の前に居る男を見た。
――アンギルダン・ゼイエン。
2度目の処刑告知の数日前のことである。
※ ※ ※
その頃、ジルはオールという少年と対峙していた。
「アンタってさ、ナマイキだよねー」
「子供相手にムキになるのって、どうかと思うぜ」
「それに比べてこの赤ん坊の可愛いこと! 見習えば?」
「お前もな」
「……」
いつもなら飄々と人をからかい、からかい尽くすジルであったが、どうも今日は日が悪い。
傍でセレネーがアンギルダンにちょっかい出しているのも、その原因のひとつだと思うのだけど。
「ジル」
ゼネテスが手招きしている。「逃げんのかよ」と尚も憎まれ口を叩く少年の声を背に、ジルはゼネテスに駆け寄った。
「どしたの?」
「お前さん、尻に3つホクロがあるだろ」
「は?」
「しかも、正三角形に並んでる!」
確かにある。きれいな正三角形が。
「……何で知ってるん?」
心なしかトーンが低い。
いつもの飄々とした切り替えしがない分、恐ろしい。
「あの赤ん坊にもあるんだよ」
「赤ん坊の尻なんか見るなんて! ゼネテスってば変・態!」
「ばっ……、俺はあれがお前さんだと思って、その確たる証拠をだな……」
ジルはゼネテスが自分をからかっているのだと思ったが、どうやらそうではないらしい。
「……なあ、やっぱあの子はお前さんじゃないのかい?」
「んでも、アタシの家族は母さんだけだし」
ちなみにアスティアはソウルリープから解放され、オズワルドで元気に暮らしている。
「私には、お姉ちゃんもお兄ちゃんも……」
居ない。
何故か、その一言が出なかった。
アタシはオズワルドで母さんに育てられて、ヴァシュタールが現れるまで、ふたりで幸せに暮らしてた。
ずっと、ふたりで。
もし仮にあの赤子が自分だとしたら、セレネーとあのナマイキなオールは姉と兄になる。
でもそれならば、
(どうして忘れてしまっているんだろうか……。)
つと、村の入り口が騒がしくなった。
ゼネテスとジルは顔を見合わせ、走り出す。
「……て、あれ……」
村の入り口に立つ人物に、さすがのジルも言葉を失ってしまったようだ。ゼネテスも同様に。
村は厳戒態勢が敷かれており、入り口は自警団の青年たちが見張っている。
その青年たちと押し問答を繰り広げる人物に、ジルたちは見覚えがあったのだ。
赤い全身鎧を身にまとう、大柄な初老の男。間違いない。
「俺はディンガルの将、アンギルダン・ゼイエン! この村の代表と話がしたい!!」
そっと後ろを見るふたり。
アンギルダンは何やら考え込んでいるようだ。
「おい、とっつぁん」
「おかしいのう……。このような記憶はないんじゃが」
セレネーは組んでいたアンギルダンの腕を離し、村の入り口にいる赤い鎧の男の前に毅然と立った。
「私がここの代表のセレネーです。何用で参られたのですか」
「俺は君たちの力になりたくて来た。ともかく話を聞いてくれ」
セレネーは頷いた。
アンギルダンの人となりは知っている。可笑しな話だが、未来から来た彼と会っているから。
「……良い……」
ぽつりとジルが呟く。
「何がだよ?」
問うゼネテスに、彼女は視線を初老のアンギルダンに向けたままで言う。
「今のお爺ちゃんも良いけど、若いお爺ちゃんも素敵すぎ……」
新たなる恋敵の登場か。警戒の色を強めるゼネテス。が、そんな剣狼なんぞ知った事ではないジルである。
何やらまだ考え込んでいる様子の老将は、過去の自分をじっと見やった。
ロストールのディンガル進行の後、2度目の処刑告知をされた。それは覚えている。
だがこの村を訪れたことが記憶にないのは、どういうことか。
一体何が起こるのだろう。
歴史に残らぬ、この忘れられたルマリス村で――。
(続)
今でこそ2大国家として存在するが、それらが確立される前、ヴァイアシオンにも群雄割拠の時代があった。
誰もが国家統一を望み、覇権を手にすべく戦った時代――。
当然国の数も多かった。ゼネテスの知るところ、それは最大で7つある。
だが時代が流れていくうちに、7つあった国々も、あるいは世継ぎがおらず衰退し、あるいは敵国に滅ぼされ――ひとつ、またひとつと消えてしまった。
ルマリスという国は、確かお家騒動が元で滅んだ国だったと記憶している。
王が若くして病死し、幼い王と弟王との世継ぎ争いだったとか。(正確には幼い王子の実母と、前王の弟一派の争いであるが。)
ともかくルマリスはそれが元で滅び、落ち延びた弟王は小さな村をつくり、そこで余生を送ったという。
彼の村長としての手腕は悪くなく、村人に好かれ、それなりに良い人生を送ったらしい。そして、そこに王朝が保有していた宝の一部を隠した――という。
しかし、ルマリスという王朝があったという痕跡を示すものはほぼ皆無。ごく僅かな文献の食い違いから考察されるだけのあやふやな伝説だ。
そのためルマリス王国の存在自体誰かの創作だという意見もあるし、やはり王国はあったが財宝を独占するために誰かが存在を隠蔽したのだという説も、実しやかに囁かれている。
■You have my word.(2)■
「で、ここがその弟王がつくった村だってのか?」
ゼネテスの問いに頷くセレネー。
「ええ。ですが、ここには財宝はありません」
「フェロヒアがセレネーさんを狙ったのって、やっぱその財宝が目当てなわけ?」
会話に割って入るジル。ちなみに割って入ったのは会話だけではない。彼女はぴったりと寄り添っていたセレネーとアンギルダンの間に身体を無理矢理割り込ませている。
「なーんか違う気がすんだよね、アタシ」
長年冒険者をやってきた勘とでも言おうか。それが違和感を告げている。
「隠し事は無しにしよ? アンタが話をしてくれたらさ、力貸したげるかもしんないし」
「本当ですか!」
「ん、バッチシ」
ジルは頷き、そしてゼネテスとアンギルダンに目配せをする。
(面白そうだし……良いよね?)
どうやら意見は同じようだ。ジルはもう一度頷いた。
「ほらほら、早く言った言った。それともアタシら信用出来ない?」
「そんなこと……ありませんわ。ええ、私の勘ですけれど」
そういってセレネーは頬を染め、アンギルダンをちらりと見やった。
(ほうほうそうかい。信用すんのはお爺ちゃんが居るからかい。)
ジルはイライラするのを必死に堪える。これから面白いことが起こるのであれば我慢できる。うん。……たぶん。
「確かに財宝はあります。財宝と言っても、金や銀ではありません。ルマリスの血筋には代々受け継がれるものがあるのです。恐らく、狙いはそれかと」
「金や銀じゃない?」
ゼネテスは首をかしげる。
「ルマリスに受け継がれる不思議な能力。能力……というのも少し違うかしら」
いまく言えない様子の彼女に、アンギルダンが慰めの言葉をかける。
それに勇気付けられたのか、セレネーは再度口を開いた。
「大いなるソウル。無限の可能性を秘めた魂を持つ子供がルマリスの血筋には現れるのです」
かつての弟王もそうだった。彼はその無限の可能性を高め、村という新たなる可能性を切り開いた。
そして受け継がれるものはもうひとつ。
「闇の神器――“虚無の剣”」
ジルたちは顔を見合わせた。虚無の剣の存在は知っている。何故なら。
(アタシ、愛用してんだけどさ。)
(……だよな。)
頷くゼネテス。
話がややこしくなるから黙っとこう。意見は決まった。
「フェロヒアが私を狙ったのは、恐らく私がルマリス王朝の血を引くからでしょう」
「んじゃ、セレネーさんも無限の魂?」
「いえ、ですが弟と妹は」
「兄弟いるんだ! 名前は?」
「弟はオール。妹は、まだ赤ん坊ですが……」
セレネーの言葉に、ジルとゼネテスはまた顔を見合わせることとなる。
「ジルと言います」
かつて栄えた伝説の王国。
虚無の剣。そして大いなるソウルと無限の魂――。
運命の歯車が音をたてて動き出したような、そんな気がした。
※ ※ ※
ロストールがディンガル進行を公表。
エンシャント政庁では、皇帝エリュマルクが重臣を集め、軍議を行っていた。
ロストール国王・フェロヒアは進軍にあたり、使者に口上を述べさせていた。
「ロストールめは国境近くの村をひとつ明け渡せば、進軍を取りやめると言っておる。皆の意見を聞きたい」
そう言ったもの、エリュマルクの腹はもう決まっていた。戦わずして済むのなら、向こうの条件を飲むのも悪くない。
条件には村人全員を引き渡すということも含まれているが、多少の犠牲はやむを得ない。
多くの重臣たちもエリュマルクと同意見と述べる。どうやら方針は固まりそうだ。
「早々に使者を送れ」
彼がそう告げた直後だった。
「陛下」
声があがった。低く、よく通る声だ。
その声の持ち主は一歩前に出ると、片膝をつく。
「僭越ながら申し上げます。何故向こうがそういった条件を出したのか……それが判明するまで様子を見るべきではないでしょうか」
それに、と男は続ける。
「小さき村とはいえ、そこに住まう者たちはれっきとしたディンガルの民。彼らに対する配慮があってしかるべきかと」
エリュマルクはあからさまに面白くない顔をした。
この男は以前から口うるさく意見してくる。しかもそれが正論であるから始末が悪い。
(面白くない。)
改めて、エリュマルクは目の前に居る男を見た。
――アンギルダン・ゼイエン。
2度目の処刑告知の数日前のことである。
※ ※ ※
その頃、ジルはオールという少年と対峙していた。
「アンタってさ、ナマイキだよねー」
「子供相手にムキになるのって、どうかと思うぜ」
「それに比べてこの赤ん坊の可愛いこと! 見習えば?」
「お前もな」
「……」
いつもなら飄々と人をからかい、からかい尽くすジルであったが、どうも今日は日が悪い。
傍でセレネーがアンギルダンにちょっかい出しているのも、その原因のひとつだと思うのだけど。
「ジル」
ゼネテスが手招きしている。「逃げんのかよ」と尚も憎まれ口を叩く少年の声を背に、ジルはゼネテスに駆け寄った。
「どしたの?」
「お前さん、尻に3つホクロがあるだろ」
「は?」
「しかも、正三角形に並んでる!」
確かにある。きれいな正三角形が。
「……何で知ってるん?」
心なしかトーンが低い。
いつもの飄々とした切り替えしがない分、恐ろしい。
「あの赤ん坊にもあるんだよ」
「赤ん坊の尻なんか見るなんて! ゼネテスってば変・態!」
「ばっ……、俺はあれがお前さんだと思って、その確たる証拠をだな……」
ジルはゼネテスが自分をからかっているのだと思ったが、どうやらそうではないらしい。
「……なあ、やっぱあの子はお前さんじゃないのかい?」
「んでも、アタシの家族は母さんだけだし」
ちなみにアスティアはソウルリープから解放され、オズワルドで元気に暮らしている。
「私には、お姉ちゃんもお兄ちゃんも……」
居ない。
何故か、その一言が出なかった。
アタシはオズワルドで母さんに育てられて、ヴァシュタールが現れるまで、ふたりで幸せに暮らしてた。
ずっと、ふたりで。
もし仮にあの赤子が自分だとしたら、セレネーとあのナマイキなオールは姉と兄になる。
でもそれならば、
(どうして忘れてしまっているんだろうか……。)
つと、村の入り口が騒がしくなった。
ゼネテスとジルは顔を見合わせ、走り出す。
「……て、あれ……」
村の入り口に立つ人物に、さすがのジルも言葉を失ってしまったようだ。ゼネテスも同様に。
村は厳戒態勢が敷かれており、入り口は自警団の青年たちが見張っている。
その青年たちと押し問答を繰り広げる人物に、ジルたちは見覚えがあったのだ。
赤い全身鎧を身にまとう、大柄な初老の男。間違いない。
「俺はディンガルの将、アンギルダン・ゼイエン! この村の代表と話がしたい!!」
そっと後ろを見るふたり。
アンギルダンは何やら考え込んでいるようだ。
「おい、とっつぁん」
「おかしいのう……。このような記憶はないんじゃが」
セレネーは組んでいたアンギルダンの腕を離し、村の入り口にいる赤い鎧の男の前に毅然と立った。
「私がここの代表のセレネーです。何用で参られたのですか」
「俺は君たちの力になりたくて来た。ともかく話を聞いてくれ」
セレネーは頷いた。
アンギルダンの人となりは知っている。可笑しな話だが、未来から来た彼と会っているから。
「……良い……」
ぽつりとジルが呟く。
「何がだよ?」
問うゼネテスに、彼女は視線を初老のアンギルダンに向けたままで言う。
「今のお爺ちゃんも良いけど、若いお爺ちゃんも素敵すぎ……」
新たなる恋敵の登場か。警戒の色を強めるゼネテス。が、そんな剣狼なんぞ知った事ではないジルである。
何やらまだ考え込んでいる様子の老将は、過去の自分をじっと見やった。
ロストールのディンガル進行の後、2度目の処刑告知をされた。それは覚えている。
だがこの村を訪れたことが記憶にないのは、どういうことか。
一体何が起こるのだろう。
歴史に残らぬ、この忘れられたルマリス村で――。
(続)
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