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2025年05月06日
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SS(愚/痴/外/来/ 宇×田←白)

2011年09月14日
※別ジャンル注意。




ドラマ設定の宇佐見×田口←ですが、またも無駄にグッチー女体化。
ドラマドネの逃避行シーンと白鳥さんの謝罪シーンにウッカリ萌えてしまったのは、きっと私だけじゃないはずっ! ……ですよね??


漆黒の闇の底。差し込む一縷の優しい光。
それに気づいてしまった瞬間、どうしようもなく切なくなった。


※ ※ ※


「田口先生……」
突如交された口づけを、田口は自然に受け入れた。
その事に驚きつつも、どこか納得していた田口である。
「宇佐見、さん……」
「……すみません」
こちらが名を呼んだのを抗議だと考えたのか、宇佐見は、すい、と視線を逸らす。
――惹かれては駄目だ。
分かっているのに、互いに感情を止めれない。

「あなたが好きです」

苦しい、と、もがくような声だった。
「好きです」が「助けて」と聞こえる程に。
「宇佐見さん――――」
言いかける田口を片手で制して、宇佐見は小さくかぶりを振った。
聞けば、乾いた心が満たされる。……漠然と感じていたが、聞かないことが最良なのだと自分自身に言い聞かす。
「答えは必要ありません。……ただ、あなたに言っておきたかった……」
それだけです、と固く結ばれ、言葉は終わる。
勝手に触れて、勝手に離れて。
こちらが望んで伸ばした両手を、見向きもせずに去っていく。
「……私は。」
掠れた声は閉まるドアにかき消され、暗闇の中に溶けて行く。
けれど引き止める事はしなかった。
それが彼の精一杯の優しさであると、知っていたから。


※ ※ ※


「怖くないのか、俺が」
「撃つならもう撃っているでしょう。これ以上私を連れていても、邪魔なだけだし……」
「…………」
白鳥に真相を暴かれ、逃亡のためにとった人質。
田口の言う通り、これ以上彼女を連れて行く事は、デメリット以外の何ものでもない。
頭ではそう理解しているのだが、繋いだ手を離す事はどうしても嫌だった。
「……田口先生……」
真摯にこちらを見つめる瞳の、宇佐見が呟く。
――――俺と、一緒に。
出かけた言葉を寸でで飲み込む。
そう告げてしまったら、きっと彼女はこちらに堕ちる。
せめて「好きだ」と、もう一度だけ告げてみようか。
「さようなら」と告げる代わりに「愛している」と。
「田口先生……」
「……はい」
「田口先生……!」
掴んでいた手をこちらに引いて、攫うように抱きしめる。
小さな身体は、強く抱いたら壊れてしまうかもしれないけれど。
「……っ、」
公子さん。と、名前を呼ぼうと思うのに、胸につかえて出て来ない。
交す言葉は何もない。でも、触れ合う箇所から、心が聴こえるようだった。

「グッチー!!」
「!」

このまま永遠に時が止まればと、そんな宇佐見の願いを壊すのは、白鳥の声だった。
「グッチーから離れろ、宇佐見!!」
反射的に銃口を声へと向ける。
既にコッキング状態となっていた銃は、トリガーを引くだけだ。
――――その瞬間。
「駄目っ!!」

横切ったのは、白衣の白。

――――バンッ!!
聞き慣れた発砲音。硝煙の臭い。
幾つもの命を奪ったこの銃で、まさか。……まさか。
「グッチー!!」
怒りと焦りを孕んだ声に、我に返った。
今更ながらに震える利き手で拳を握り、踵を返して走り出す。
宇佐見、と叫ぶ声が聴こえたが、立ち止まる事はしなかった。
(……まさか。)
自らの手で、想う者の命を奪う事になるなどと。
どうか無事に居て欲しい、と思う気持ちと、このまま結ばれないならいっそ……と相反する気持ちで心が揺れる。

『宇佐見さん』

微笑む彼女を思い出し、続きを聞けば良かったと、唇を強く噛み締めた。


※ ※ ※


――――カツン。
静まり返った病院内に響いていたはずの靴音が、ピタリと止まる。
「白鳥さん?」
振り返って何をか問うと、彼はわざとらしく上を向いて田口に言った。
「…………ねー」
「え。何?」
ごにょごにょと言った言葉に強く聞き返したなら、白鳥は観念したように息を吐き、こちらを向いた。
「ごめんねって言ったの、ごめんねって!」
ヤケのように叫ぶ姿は、プライドの高い白鳥の最大限の照れ隠し。
田口はしばし瞠目し――そして、思わず笑ってしまった。

「あっ、何。もー、人がせっかく謝ってやってるっていうのにさァ。やっぱちょっと最近生意気だよね、グッチーってば」

漆黒の闇の底。差し込む一縷の優しい光。
けれど惹かれたその闇は、私を置いて行ってしまった。
切なくて、……悔しくて。

「ありがとう、……白鳥さん」

不器用な愛情に救われた気がしてそう言うと、何故かの涙が一筋溢れる。
その事にまた、慌てふためく白鳥だった。



―――――――――――

白鳥さんは原作もドラマも行灯大好きっ、で困ります(●*'v`*人)


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