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2025年05月06日
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SS(if…八幡主+アキラ)
2011年04月04日
ifコンプクリア記念?にちょっと書きたくなったSSです^^たぶん続きます←
アキヒロも結構好きな筈なのに、八幡が好きすぎて書けないとか……、唐突な別ジャンルですみませ……!^q^
アキヒロも結構好きな筈なのに、八幡が好きすぎて書けないとか……、唐突な別ジャンルですみませ……!^q^
■Where did you learn that? 1■
幽閉の塔が揺れている。
ハザマという主を失い、世界の均衡が崩れていっているのだろう。
アキラはタマキの前に立ち、彼女の瞳をじっと見つめた。
頼りないと思っていた少女の面影は既にない。あるのは、強い意思を宿す紅柱石の瞳だけ。
「おまえとも別れる時が来たってわけだ。人間には人間の、悪魔には悪魔の帰る場所がある。……そのへんは、わかってんだろう?」
「ん」
短く頷き、血で汚れた頬を手の甲で乱暴にぐいと拭う。
絶対的な力を誇ったハザマを倒した直後というのに、通常の戦闘が終わった後と変わらぬ仕草。それに思わず笑いそうになってしまって、慌てて堪える。
「それじゃおまえを人間の世界に送り返すぜ……。いいな?」
「ちょっとタンマ!」
「あ? 今さら何言ってるタマキ。おまえがここに残ることを望んでいるやつなんか一人もいないんだ。悪いが力ずくでも――おわっ!」
ぶおん! と目の前に熱の帯びた刃が降ろされる。「何しやがんだテメーは!」
「だからタンマって言ってんじゃん、もー。人の話聞きなって」
「お前こそ人の話を聞け! お前が残った所でどうしようもねえだろが!」
「どうしようもなくないもん」
「?」
「私、学校に戻りたい」
「がっこう……?」
その単語に、アキラは思わず目を瞠る。
ハザマの手によって魔界に落とされた学校は、依然として行方が知れない。内部に居た人間たちも、どうなったのか分からない。
「今更だな」
「ん」
もう一度短く頷き、タマキはアキラに視線を返した。
この塔を登る間に過ごした時間で、タマキの性格は熟知した。
自分の思い通りにならない事を良しとしない、自分勝手な子供に近い。止めた所で聞かないだろう。……たとえ俺が、コイツに元の世界で暮らしてほしいと願っても。
「ハザマの次の王様はアンタなんでしょ? なら、学校の場所くらい分かるよね?」
元々アキラと手を組んだのは、外に出て警察に救援を求めたかったからだった。
今思うと求めた所でどうしようもなかったのだが、あの時はそれが最善だと思っていたのだ。
「私、強くなったから、ちゃんとみんなを助けに行きたい。たとえ助けらんなくっても、一緒に居たい人居るし」
「そういやお前、アイツの事が好きとか何とか言ってたっけな」
「しつこい女ですからねー」
満面の笑みでそう言われれば、苦い笑いを返す他ない。
「……分かった。なら、お前を塔の外に出してやる。後悔したって知らねえからな」
「サンキュ♪」
アキラとタマキは拳同士を軽く合わせた。
ふたりが困難を乗り越えた時に自然にしていた動作のひとつだ。
「ただ、条件がひとつ」
「じょーけん?」
「コイツを連れてけ」
アキラはサバトマを唱えると、タマキのCOMPから一匹の仲魔を引きずり出した。
乱暴に扱われて抗議の声を上げるセベクの頭を押さえつけると、タマキに言った。
「コイツを連れてけ。で、常にCOMPから出しとけ。MAGは不要だ」
「アモン!? なんで俺がコイツの、ってかMAGは食わせ――イテッ!」
反論は許さない、と言葉の代わりの拳骨ひとつで黙らされ、不服そうだがセベクは渋々頷いた。元々、タマキの事は嫌いじゃない。……口に出しては言わないが。
「じゃ、行こっかセベク。アキラ、宜しく!」
「お前こそ、変なとこでくたばんじゃねえぞタマキ」
「おうともさ!」
もう一度拳を合わせて、タマキは笑った。アキラも笑った。
これから歩いて行くのは別の道。けれどまた会う事もあるだろう。
転送の光に包まれながら、タマキは大きく手を振った。
2011.04.04
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